いつから大人になるのか

成人の年齢引き下げ(引き上げ)が以前から問題になっていますよね。成人年齢は,民事系では行為能力を制限するか否か,刑事系では少年法を適用するか否か,特別法の領域では,お酒やたばこの制限をするか否か,などあちこちで影響が出てきます。各法律分野で成人年齢は統一させるべきか,各法律毎の趣旨を踏まえて個別に成人年齢を定めるべきか,という点も少し悩まなければならないところです。


法律の話はこれくらいにして,世の中では何をもって大人(おそらく,成人という言葉とは使い分けられている)になるのでしょうか。この問は端的な答えを要求しているものだと思うから,長文で大人を説明するのは答えとしてセンスがありません。ここは,ビシッと一言で答えたいところなんですが,この問について,最近まで私は答えを持ち合わせていませんでした。尋ねられれば,せいぜい経済的に自立している人をいう,とか答えていたんだと思います。子どもの頃に戻りたいな,と思うようになったら大人である,とふざけて答えていたかもしれません。


しかし,最近私は,大人とは,自己管理のできるものをいう,という答えを意識するようになりました。自己管理は,体調面,精神面,経済面,時間と各分野に存在します。体調やメンタルなんかは自己管理の代表例ですよね。結構当たり前に,太ったら自己管理できていない証拠だ,とか話になりますものね。鬱とかは自己管理だけでは説明できない部分もあるように思えますがそれでも世間では自己管理ができていないと思われるのかもしれません。そして,経済的自立はやはり自己管理にとって重要だと思います。今の日本を生きてゆくには否が応でも問題となります。

私が最も強調したいのは時間の管理です。子どもの頃は,時間なんて無限にあるように思えましたから,時間なんて管理する動機がわいてきません。好きなように好きなことをさせてもらいました。しかし,大人は時間が有限であることを意識しているはずです。それゆえに,時間単位でいかにパフォーマンスを発揮するか,効果を得るかが問題になってきます。これを考えずに時間を自分のためにも家族のためにも仕事のためにも使わないで,無為にダラダラと時間を消費しているのが子どもなのだと思います。


特に,自営業の分野では,時間感覚がないと仕事が成り立ちません。ある仕事を引き受けたときに,この仕事の報酬は○○円の定額であるということは,○○時間で片付けないと自分の時給換算で○○円になる,という意識を持って仕事をしないと,簡単に破産します。時間に締切りがあるから,今やっていることはこの時間までに片付けよう,という意識が重要なんですね。実は,小学生の時分からテストなるもので時間との戦いは訓練され続けてきており,今あと何時間だからこのくらいまではできるな,という感覚を持ってテスト勉強したり,テストを受けているときも残り時間と残りの問題で時間配分を調整する,なんてしてきましたよね。この感覚は実社会でもものすごく大切にされるべき感覚だったと思います。

私はテストは大事だと思っていたけど,時間管理がここまで大事だったとは,思っていませんでした。学生の頃から知っていれば,もっとしっかり身につけられたのになー,と軽く後悔しています。だって,この感覚は,自分の能力を適切に把握しないと,そもそも成り立たないんです。この仕事を片付けるのに,あと何時間かかるというのは自分の仕事処理能力がかかわってくるからです。そこの点に意識が向いていませんでした。

では,自分の能力の把握ってどうすればいいのか。一番端的で分かりやすいのが,ベイビーステップ2巻160頁におけるコーチ発言です。
ベイビーステップ(2) (少年マガジンコミックス)

  • テニスは球を打った時の感覚とその球がどこに落ちたかという認識
  • このふたつが備わった確かな1球を打ってはじめて上達する
  • この1球の蓄積こそが上達なんだ

これは,自分の能力を適切に認識する,とそのまま言い換えられると思います。

  1. 作業に取りかかり始めた頃に,この作業の感覚ならあと何時間でできるだろう,という感覚を持ち
  2. 実際に作業が終わった時の時間を踏まえて,自分の今回の作業に対する作業処理能力はこれくらいか,という認識を持つこと,

この繰返しで自分の能力は適切に把握されていくんだと私は思います。私は2を適切にしてこなかったせいで,いまいち自分の能力の把握ができていません。こればっかりは1と2の繰返し,蓄積で把握するしかないので,学生時分から蓄積ができていたらいまごろは自己管理ができたのにな,大人になれたのにな,と思うわけです。


大人になるのって大変ですね。否,いつから大人になるかって考えを深めようとすると,大変なことになりますね。もう,「自分が大人だと思った時が大人である,ただし他人の同意を得られるとは限らない」という宇宙CQCの定義的なものでも十分なのかもしれませんね。這いよれ! ニャル子さん 1 (初回生産限定) [Blu-ray]